夜間のトイレとむくみ、前の晩の汁物が関わっているかもしれません
塩分をとりすぎると体は水分をためこみ、朝はまぶたが、夕方には足首がむくみやすくなります。日本腎臓学会と日本高血圧学会の数字をもとに、めん類の汁やみそ汁に食塩が集まるしくみ、夜間のトイレとの関係、無理なく減らすコツ、そして受診の目安までを整理しました。

朝起きるとまぶたが重く、夕方には靴下のゴム跡がくっきり残る。夜中に二度も三度もトイレに起きる。こうした変化は年齢のせいにされがちですが、前の晩に食べた汁物の塩分が関わっていることも少なくありません。腎臓は体の水分と塩分の量を一定に保つ臓器なので、入ってくる塩分が増えれば、その調整の負担は素直に増えます。ここでは、そのしくみと、日本の食卓のどこに塩分が集まっているのかを整理します。
塩分が水をためこむしくみ
むくみ(浮腫)は、日本腎臓学会の説明では腎臓から水分を十分に排泄できず、体内に余分な水分がたまっている状態を指します。腎臓の病気によるむくみは左右対称に出やすく、むくんでいる部分を指で十秒以上強く押すと、指の跡がへこんだまま残るのが特徴です。体重が二〜三キロ増えると重力の関係で足首のくるぶし付近からむくみはじめ、五キロ以上増えると全身に広がるとされています。
夜間のトイレにも塩分が絡みます。日本腎臓学会は、腎機能が低下すると摂取したナトリウムを日中に排泄しきれず、夜間に血圧を高くして排泄しようとすることが夜間多尿の原因になると説明しています。ちなみに頻尿の目安は一日八〜十回以上、夜間二回以上で、健康な成人の一日の尿量はおおよそ一・〇〜一・五リットルです。
ただし、ここが肝心なところです。むくみは腎臓以外でも起こります。心臓や甲状腺の働きが低下したとき、足の静脈瘤やリンパの流れが悪いときにも同じように出ますし、夜間頻尿は前立腺の肥大や膀胱炎、睡眠障害、寝る前の水分のとりすぎでも起こります。症状の見た目だけで腎臓のせいと決めつけないこと、原因を確かめてからそれに応じて対処することが大切だと同学会は繰り返し述べています。
日本の食卓で塩分が集まる場所
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(二〇二五年版)」では、食塩摂取量の一日あたりの目標量は成人男性が七・五グラム未満、女性が六・五グラム未満とされています。一方で令和五年の国民健康・栄養調査による一日の食塩摂取量の平均値は九・八グラムで、目標を大きく上回っている状態です。高血圧で治療中の人には一日六・〇グラム未満がすすめられています。
どこに集まっているかは、日本高血圧学会が示す一食あたりの食塩量を並べるとよく分かります。カップめん一個(百グラム)で五・五グラム、きつねうどん一人前で五・三グラム、にぎり寿司一人前がしょうゆ込みで五・〇グラム、天丼が四・一グラム。みそ汁は一杯で一・五グラム、ポタージュは一杯一・二グラム、梅干しは塩漬け一個(十グラム)で一・八グラムです。つまり、めん類の汁を最後まで飲むかどうかで、一日の合計はまったく別の数字になります。
じゃあ何をすればいい?
やめる必要はありません。日本高血圧学会がまとめている減塩のコツは、どれも「やめる」ではなく「置き換える」方向の工夫です。
- めん類の汁やスープを残す — 全部残せば二〜三グラムの減塩になります。外食のラーメンや市販のインスタント麺には特に多くの食塩が含まれています。
- みそ汁は一日一杯以内、具だくさんに — 同じ味つけでも具を増やせば汁の量そのものが減り、野菜の摂取も増えます。
- 減塩食品を活用する — 日本高血圧学会は「JSH減塩食品リスト」を公開しており、同じカテゴリの中から食塩の少ない製品を選べます。加工食品は栄養成分表示のナトリウム量を見比べてから買うのが確実です。
- 卓上調味料を置かず、酢や香辛料を使う — 食卓にしょうゆやソースを置くとつい多めにかけてしまいます。酢、こしょう、カレー粉、しょうが、にんにく、しそなど食塩を含まない調味料で味を締めるほうが続きます。
腎臓の働きがすでに落ちている場合は、目標がさらに具体的になります。日本腎臓学会の「慢性腎臓病に対する食事療法基準」では、食塩はステージにかかわらず一日六グラム未満とされ、同時に一日三グラム未満の過度な食塩制限は推奨されていません。減らせば減らすほど良いという話ではない、という点は覚えておく価値があります。
受診の目安
慢性腎臓病は自覚症状が透析の直前まで出にくいため、健診の尿検査が早期発見の要だと日本腎臓学会は強調しています。検尿は腎臓病だけでなく、腎臓や尿管、膀胱、前立腺の病気の発見につながることもあります。血尿が見つかったときは、症状がないからと放置せず早めに専門医を受診してください。尿の色がコーラ色や赤みを帯びる、尿量の異常が続く、強い痛みや発熱をともなう場合も同じです。急に強い症状が出たときは救急(一一九番)を迷わず使ってください。
ここまでを振り返ってみてください。まぶたや足首のむくみ、夜間のトイレの回数、めん類の汁を飲みきる習慣、加工食品の栄養成分表示を見ずに買う習慣。当てはまるものがいくつありましたか。この記事は一般的な情報であり、診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、かかりつけ医に相談してください。
関連記事
3 分で読了2 回閲覧何度もトイレに行くのは食事のせい?膀胱を刺激する3つの習慣
何度もトイレに行きたくなり排尿時にツンとした痛みがあるなら、カフェイン・辛い食べ物・炭酸飲料が膀胱の粘膜を直接刺激している可能性があります。泌尿器科の知見をもとに、原因の仕組みと麦茶や味噌汁への置き換え方法までわかりやすく詳しく紹介します。
4 分で読了0 回閲覧子宮筋腫の過多月経は「体質」ではない — 貧血が先に教えてくれるサイン
子宮筋腫は30歳以上の女性の3割前後に認められる良性の腫瘍です。過多月経より先に表に出る鉄欠乏性貧血のサイン、ナプキンの大きさと交換回数で月経量を数える方法、飲酒の目安となる純アルコール20g、そして受診やMRI検査が必要になる場面までを、公的情報をもとに整理しました。
6 分で読了0 回閲覧