血圧を上げる意外な原因3つ、カフェイン・甘草・汁の塩分
血圧を上げるのは塩分だけではありません。カフェイン、漢方薬の7割以上に含まれる甘草、そして麺類の汁の塩分という3つの身近な要因について、農林水産省・厚生労働省・日本高血圧学会の情報をもとに、体の中で何が起きているのかと、今日からできる切り替え方をまとめました。

急に胸がドキドキしたり、首の後ろが張ったり、頭が重くなったり。こうした症状は疲れや寝不足でも起こりますし、逆に血圧が高くなっていても自覚症状はほとんど出ないのが普通です。だからこそ、日常のなかで血圧を押し上げている要因は、気づかないまま積み重なります。塩分はよく知られていますが、実はもう2つ、公的機関が具体的に注意を呼びかけている身近な要因があります。ここでは農林水産省・厚生労働省・日本高血圧学会・国立循環器病研究センターの情報をもとに、3つの原因と切り替え方を整理します。
カフェインと甘草、血圧を動かす2つの成分
まずカフェインです。農林水産省の解説によると、カフェインは神経を鎮めるアデノシンとよく似た構造を持ち、アデノシンが結合するはずの受容体をふさいでしまうため、結果として神経が興奮します。過剰にとるとめまい、心拍数の増加、不安、震え、不眠などが起こり、長期的には人によって高血圧のリスクが高くなる可能性があるとされています。エナジードリンクや眠気覚まし用の清涼飲料水のカフェイン濃度は100mLあたり28〜300mg、製品1本では50〜170mgと幅があります。米国FDAは健康な成人で1日400mgまでなら危険な悪影響はないとしていますが、これは目標値ではなく上限です。
もう一つが甘草(カンゾウ)です。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」によれば、甘草の主成分グリチルリチンの代謝物がコルチゾールをコルチゾンに変える酵素(11β-HSD2)を抑えてしまい、行き場を失ったコルチゾールが腎臓でアルドステロンと同じように働きます。その結果、ナトリウムをため込みカリウムを出してしまう「偽アルドステロン症」が起こり、血圧上昇・むくみ・低カリウム血症につながります。同マニュアルでは、症状の頻度として四肢の脱力・筋力低下が約60%、高血圧が35%と報告されており、この2つが発見のきっかけになることが最も多いとされています。注意したいのは量です。保険が使える漢方薬の70%以上に甘草が含まれ、1日1〜2gしか含まない医療用漢方薬での発症例も報告されています。甘草湯や芍薬甘草湯のように甘草そのものが主役の処方は特に含有量が多くなります。
汁物の塩分、カップめん1個で食塩5.5g
3つ目は麺類やスープの塩分です。国立循環器病研究センターは、塩分をとり過ぎると体内に水分が蓄積して血流量が増え、それによって血圧が上がると説明しています。日本高血圧学会の資料では、カップめん1個(100g)で食塩5.5g、きつねうどん1人前で5.3g、にぎり寿司1人前(しょうゆ込み)で5.0g。みそ汁1杯でも1.5gです。同学会が掲げる目標は1日6g未満ですから、カップめん1個でその日の目安をほぼ使い切る計算になります。
日本人の平均食塩摂取量は1日10.7gで、「日本人の食事摂取基準」の目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)にも届いていません。ただし全部を我慢する必要はありません。同学会の減塩資料には「めん類の汁やスープを残す」だけで2〜3g減らせると明記されており、外食のラーメンや市販のインスタント麺は特に食塩が多いので、汁を最後まで飲み切らないようにと勧められています。
今日からできる3つの切り替え
- カフェインは量を見る — カップ数ではなく製品の表示を確認します。1本で150mg近いものを毎日飲んでいるなら、その1本をカフェインレスのコーヒーや麦茶に替えるところから。運動中や飲酒と一緒の摂取は特に避けたほうが無難です。
- 漢方薬とのど飴の成分表を見る — 甘草はかぜ薬や胃腸薬、のど飴、甘草茶にも入っています。複数の漢方薬を併用していると甘草の合計量が増えるので、血圧が高めの方や利尿薬を飲んでいる方は、飲んでいるものを一覧にして医師・薬剤師に見せてください。自己判断でやめるのではなく、相談するのが先です。
- 汁は残す、野菜は足す — 麺の汁を残すだけで2〜3g、みそ汁を具だくさんにすれば汁の量そのものが減ります。国立循環器病研究センターは高血圧の原因の一つに「野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足」を挙げており、日本高血圧学会もナトリウムとカリウムのバランスに着目した啓発を続けています。減らす側と足す側を同時に動かすのが現実的です。
こんな症状が出たら、迷わず119番
血圧の話は、脳卒中や心筋梗塞のサインと地続きです。国立循環器病研究センターは、脳卒中を疑う典型的な症状として、片方の手足や顔半分の麻痺・しびれ、呂律が回らない・言葉が出ない、力はあるのに立てない・歩けない、片方の目が見えない・物が二つに見える、そして経験したことのない激しい頭痛を挙げています。1つでも当てはまれば、様子を見ずにすぐ救急車を呼ぶこと。夜中や就寝前に出た場合も、朝まで待たずに119番してください。一時的に症状が消えても、重い脳梗塞の前触れであることがあります。
そしてもう一つ。同センターは血圧の薬について、主治医の指示がない限り自分の判断で量を調節したり中止したりしないようはっきり注意しています。途中でやめると血圧は元の値に戻るだけでなく、それ以上に上がって合併症を起こすことがあります。
今日ひとつだけ始めるなら、次にラーメンやカップめんを食べるときに汁を半分残してみてください。それだけで1食あたり1g以上の減塩になり、続ければ1日の目安に近づきます。なお、この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療の判断に代わるものではありません。血圧が高い状態が続く場合や、気になる症状があるときは医療機関に相談してください。
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