片頭痛の引き金になりやすい3つの食習慣と見直し方
熟成チーズや加工肉、休日だけ抜けるカフェイン。片頭痛の引き金として名前が挙がる3つの食習慣について、日本頭痛学会の診療ガイドラインや国際頭痛分類が実際に示している内容を確認し、好きなものをやめずに続けられる置き換え方と、記録のとり方までまとめました。

こめかみが脈打つように痛み、光や音がつらく、吐き気まで出てくる。片頭痛は食後すぐではなく数時間たってから始まることが多く、何が引き金だったのかを後から結びつけるのが難しい発作です。日本頭痛学会などがまとめた診療ガイドラインでは、片頭痛患者の約75%に何らかの誘発因子があるとされています。ここでは、名前が挙がりやすい3つの食習慣について、実際に確かめられていることと、今日から試せる置き換え方を整理します。
熟成チーズと赤ワインで名前が挙がる理由
チーズは熟成が進むほどたんぱく質が分解され、チラミンというアミンが増えていきます。チラミンは交感神経の末端からノルアドレナリンを出させ、血管が縮んだあとに広がる流れをつくると説明されています。ただし体内でチラミンを分解する酵素の働きには個人差が大きく、どのくらい影響が出るかは人によって違います。
実際にどれくらいの人が当てはまるのでしょうか。診療ガイドラインが引用している英国の意識調査では、誘発因子としてチョコレートまたはチーズを挙げた人は16〜18%にとどまっています。赤ワインについては、チラミンだけでなくヒスタミンやポリフェノール、アルコールそのものの血管拡張作用が関わると考えられています。赤ワインで誘発されると認識している群と認識していない群を比べた研究では、認識がある群でしか発作が誘発されませんでした。誘発因子は全員に共通するものではなく、あくまで個人ごとに違うということです。
加工肉の発色剤と頭痛のつながり
ハムやソーセージ、ベーコンに使われる亜硝酸ナトリウムは、色をきれいな赤に保つ発色剤であると同時に、ボツリヌス菌などによる食中毒を防ぐ目的でも使われています。体内では一部が一酸化窒素に変わり、血管をゆるめて広げる働きをします。英語圏でこのタイプの頭痛が「ホットドッグ頭痛」と呼ばれるのは、1972年に医学誌ランセットで、加工肉のあとに頭痛が起きる男性に対して二重盲検で亜硝酸塩を投与し、症状を再現できたと報告されたことがきっかけです。ただし、加工肉が誘因になる人がどれくらいいるのかを示す信頼できる調査は限られています。診療ガイドラインも、食事性の誘発因子は名前が広く知られているわりに、実際に体験している患者は少ないとしています。
休日だけ頭が重くなるならカフェインの波
国際頭痛分類第3版にはカフェイン離脱頭痛という診断名があります。1日200mgを超えるカフェインを2週間以上とり続けていた人がそれを中断すると、24時間以内に頭痛が現れ、その後カフェインをとらなければ7日以内におさまる、という形で定義されています。食品安全委員会のファクトシートによれば、コーヒーの浸出液はおよそ100mlあたり60mg。マグカップ2杯ほどでちょうどこの目安に届く計算です。
平日は毎日飲むのに休日だけ抜く、という飲み方が発作につながりやすいのはこのためです。診療ガイドラインでも、カフェイン摂取は片頭痛が慢性化していく外的要因のひとつとして挙げられています。一方でEFSA(欧州食品安全機関)は、健康な成人であれば1日400mgまで、1回あたり200mgまでなら健康リスクの懸念は生じないとしており、やめること自体を目的にする必要はありません。
今日から試せる3つの置き換え
- 熟成の短いフレッシュチーズに置き換える — モッツァレラ、リコッタ、カッテージチーズ、クリームチーズはたんぱく質の分解がほとんど進んでおらず、チラミンは少ない側です。チーズ自体をやめる必要はありません。
- ハムやソーセージは無塩せき表示を見る — 「無塩せき」は業界の公正競争規約で、発色剤を使わずに塩漬けしたものと定義されています。原材料表示に「亜硝酸Na」とあれば無塩せきではありません。色は灰色がかりますが、鶏むね肉やローストビーフを生肉から調理する方法も選べます。
- コーヒーは量を一定に保つ — 平日と休日で差をつけないことが要点です。減らしたいときは数週間かけて少しずつデカフェの割合を増やすと、離脱による頭痛を避けながら量を落とせます。
まず1つだけ変えるなら
次の2週間、発作が起きる前24時間に何を食べたかを頭痛ダイアリーに書き留めてみてください。食事から発作までは時間が空くことが多く、直前の一食だけを思い出しても見当違いになりがちだからです。同じものが2回以上出てきたときに、その1つだけを控えてみる。これが、食べられるものを減らさずに自分の傾向をつかむ現実的な順番です。診療ガイドラインでも、むやみに食品を制限することはかえって生活の質を下げる場合があるとされています。この記事は一般的な健康情報であり診断ではありません。発作が頻繁になったり、いつもと違う強い頭痛が出たりする場合は、脳神経内科や頭痛外来で相談してください。
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