コラーゲンの減少は「加齢のせい」ではなく光老化と糖化
シワやたるみは年齢のせいだと思われがちですが、環境省は光老化を「加齢による自然の老化とは異なり、適切な防御で防ぐことができる」と説明しています。紫外線がコラーゲンを分解する仕組みと、糖化でコラーゲンが硬くなる仕組み、今日からできる具体策をまとめました。

鏡を見て、ハリが落ちてきた、目もとや口もとの小ジワが増えた、顔色がくすんで見える——そう感じたとき、多くの人はまず「年齢のせい」と考えます。たしかにコラーゲンは加齢とともに減っていきますが、顔や手の甲に出る変化には、加齢だけでは説明しきれない部分がかなりあります。環境省の『紫外線環境保健マニュアル2020』は、お年寄りの顔や手の甲に見られるシミやシワについて「一般に加齢による老化と思われがちですが、実は生理的な加齢に加えて、紫外線による慢性傷害によって生じる光老化の結果でもあります」と説明し、光老化は加齢による自然の老化とは異なり、適切な紫外線防御対策により防ぐことができると明記しています。
紫外線が、コラーゲンを「分解する側」に傾ける
皮膚のコラーゲンは、つくられては壊されるという入れ替わりを絶えず繰り返しています。紫外線はこのバランスを壊す側へ傾けます。日本化粧品技術者会誌に掲載された総説(米井嘉一ら、2019年)は、紫外線が活性酸素やフリーラジカルを介して皮膚に酸化ストレス障害を引き起こすと整理しています。UVAを浴びた皮膚では、コラーゲンを切断する酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生が高まり、その一方で新しいコラーゲンの産生は落ちていきます。赤くなるほど日焼けしなくても、この反応は日常の紫外線量で進みます。レジャーの日だけの対策では足りない理由がここにあります。
糖化——内側からコラーゲンを硬くするもう一つの経路
もう一つの経路は、コラーゲンを切るのではなく硬くします。血液中で余った糖は、酵素の助けを借りずにタンパク質と結びつき、AGEs(終末糖化産物)をつくります。これが糖化で、先ほどの総説もコラーゲンの糖化が皮膚の弾力性低下を引き起こすと述べています。AGEsはコラーゲン線維どうしを橋渡しするように固めてしまい、真皮の柔らかくしなやかな構造が置き換わっていきます。
蓄積の仕方も調べられています。同志社大学の糖化ストレス研究センターなどが20代から80代までの健康な男女58名を対象に行った研究では、非侵襲の測定機で調べた皮膚AGEs量と年齢のあいだに正の相関が確認されました(相関係数r=0.70、p<0.01)。真皮のコラーゲンは入れ替わりが遅いぶん、AGEsは同じ線維の上に長い年月をかけて溜まっていきます。
摂り方の目安もはっきりしています。WHOは2015年のガイドラインで、遊離糖類の摂取を総エネルギーの10%未満に抑えることを推奨し、さらに5%未満が望ましいとしています。1日2000kcalなら10%で砂糖およそ50g、5%ならおよそ25gです。日本人1人あたりの砂糖消費量は2022年で年間15.3kg、1日あたり約41.9gと、国際的には低い水準ですが、それでも5%の目安は上回ります。しかも積み上がりやすいのは、味わって食べるお菓子より、清涼飲料・加糖コーヒー・菓子パン・調味料に入っている分のほうです。
塗る量を変え、2〜3時間おきに塗り直す
環境省のマニュアルは、日焼け止めの選び方をかなり具体的に示しています。洗濯物を干す、買い物に出るといった日常の用事であれば「それほど数値の高くない日焼け止めで十分」で、日中用の乳液やクリームでもSPF・PAが表示されているものは有効とされています。一方、炎天下のスポーツやハイキング、海水浴のように長時間屋外にいる日は効果の高いものを、水に入る日は耐水性の高いものを選びます。PAは「+」の数が多いほどUV-Aを防ぐ効果が高いという表示なので、シワやたるみが気になる人はここも見ておくと選びやすくなります。
差が出やすいのは、むしろ使い方のほうです。同マニュアルは、顔に使う場合、手のひらに1円硬貨1個分の面積が埋まるくらいを取り、額・鼻の上・両頬・アゴに分けて置いてから伸ばし、そのあともう一度、同じ量を重ねて塗るとしています。腕や脚は表と裏に1本ずつ直線を描くようにつけてから、らせんを描くように均一に伸ばします。そして手や衣類に触れたり汗を拭いたりすれば落ちてしまうので、2〜3時間おきの塗り直しが勧められています。塗る量と塗り直しは、製品を高いものに買い替えるより先に見直せる部分です。
食事のほうは、甘いものを完全にやめる必要はありません。減らしやすいのは、味わって食べているお菓子より、無意識に飲んでいる清涼飲料や加糖コーヒーのほうです。無糖の炭酸水やお茶に置き換える、加糖ヨーグルトではなくプレーンに果物を足す、栄養成分表示の炭水化物・糖質の欄を一度見てみる——この順で十分に減らせます。コラーゲンの合成にはビタミンCが欠かせないので、ブロッコリーやパプリカ、キウイ、いちごなどを普段の食事に入れておくのも無理のない一手です。
紫外線と糖、二つの経路を振り返る
年齢そのものは変えられませんが、紫外線の浴び方と糖の摂り方は変えられます。環境省が「防ぐことができる」と書いているのは、まさにこの部分です。新しくできたシミやほくろが急に大きくなる、色が変わる、なかなか治らない——そうした変化があるときは自己判断せず、皮膚科で相談してください。そのうえで、今日の自分に一つだけ聞いてみてください。昨日、外にいた時間のうち日焼け止めを塗っていたのはどのくらいで、飲みものから入った砂糖は何グラムだったでしょうか。
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