サルコペニア予防、今日から見直せる3つのポイント
日本人の朝食のたんぱく質は平均15.6gで、夕食33.0gの半分以下という調査があります。加齢で筋肉量が落ちていく仕組みから、朝食に納豆や卵を一品足す工夫、厚生労働省が推奨する週2〜3日の筋トレまで、今日から無理なく見直せるポイントを整理しました。

階段の上り下りや、しゃがんだ姿勢から立ち上がる動作が前より重く感じる。そう気づいたとき、つい「年齢のせい」で片づけてしまいがちです。厚生労働省のe-ヘルスネットは、骨格筋量の低下は25〜30歳ごろから始まり生涯を通して進むと説明しています。ただし進みかたは一定ではなく、日本の食卓と運動習慣に根づいた二つのくせ——朝食のたんぱく質の少なさと、ウォーキングだけで完結する運動——がその速度に関わっていると考えられています。
朝食のたんぱく質が、一日でいちばん少なくなりがちな理由
日本人のたんぱく質摂取量を一食ごとに見ると、平均は朝食15.6g、昼食22.8g、夕食33.0gという調査結果があります。朝食は夕食の半分以下で、一食あたり20g以上とれている人の割合も、30代から70代までどの年代でも朝食では5割に届きません。ご飯150gのたんぱく質は約3.8gなので、ご飯と味噌汁と漬物だけの朝食では一桁台にとどまることもめずらしくありません。
この「いつ食べるか」の偏りそのものが筋肉に関わる可能性が指摘されています。早稲田大学の柴田重信教授らのグループが2021年に発表した研究では、65歳以上の女性60人を対象にした調査で、朝食で多くのたんぱく質をとっている人ほど骨格筋指数と握力が有意に高かったと報告されています。なお「日本人の食事摂取基準(2025年版)」のたんぱく質推奨量は65〜74歳で男性60g・女性50g、e-ヘルスネットは適正体重1kgあたり1.0g以上の摂取がサルコペニアの発症予防に有効な可能性があるとしています。

ウォーキングだけでは、筋肉に届く刺激が足りない
毎日歩いているのに脚の力が変わらない、という感覚には理由があります。歩行は心肺機能を保つうえで大切ですが、筋肉に「今の太さを保て」と伝える刺激としては強くありません。e-ヘルスネットもサルコペニア対策としてレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)が有用と考えられていると説明し、栄養と運動はそれぞれ単独よりも併用したほうが効果的だとしています。
具体的な頻度の目安もすでに示されています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人と高齢者に対して筋トレを週2〜3日取り入れることを推奨事項として挙げました。高齢者についてはこれに加えて、バランスや柔軟性も含む多要素な運動を週3日以上行うことがすすめられています。マシンやダンベルを使う必要はなく、自重のスクワットや腕立て伏せでもかまいません。

筋肉を守るために足したい3つのこと
- 朝食に「たんぱく質の一品」を足す — 納豆1パック(40g)で約6.6g、卵1個で約5.7g、絹ごし豆腐1/2丁(150g)で約8.0g。いつものご飯と味噌汁に納豆と卵を足すだけで、朝食のたんぱく質は20gに近づきます。献立をまるごと変える必要はありません。
- 筋トレを週2〜3日、生活の中に置く — 椅子からの立ち座り、かかと上げ、壁に手をついた腕立て伏せなら道具も場所も要りません。ガイド2023の週2〜3日は「目指す先」ではなく推奨そのものなので、1日おきに数分から始めれば十分です。
- 噛みにくくなったら、やわらかいたんぱく質に置き換える — 噛む力が落ちると、かたい肉や魚を避けてやわらかい食事に偏り、結果としてたんぱく質が減る流れ(オーラルフレイル)が知られています。麺やお粥だけで済ませず、卵豆腐、しらす、ツナ缶、ひき肉、高野豆腐の煮物などに置き換えるのがおすすめです。
まずは明日の朝食から
今週ひとつだけ変えるなら、朝食にしてみてください。いつもの献立に納豆を一パック、あるいは卵を一個足す。それだけで構いません。一日のうちでいちばん不足しやすい食事だからこそ、小さな追加が意味を持ちやすい食事でもあります。筋トレは来週からでも遅くありません。この記事は一般的な健康情報であり、医学的な助言ではありません。急に力が入らなくなった、歩行や立ち上がりが難しくなったという場合は、自己判断せずかかりつけ医に相談してください。
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